スペイスモス
2007年 12月 13日
昔、といっても7・8年前、神戸に「フィービーパーマネントウエーブ」という古着屋がありました。 のちに「マウンテンマウンテンシー」に改名。
フィービーは僕がそれまで出会わなかったタイプのお店でした。 アメリカ・ヨーロッパ物を中心とした、ポップでウキウキするような色使いの古着が丁寧にディスプレイされ、マネキンセンスなどにも猛烈にしびれて、あこがれのお店でよく大阪から通ってました。 バイトをしたいと願い出たほどとても気に入ってたのでした。
メンズは当然良く、レディスなどはめまいがするほど可愛くて、女の子のファンもすごく多かったのです。 バイトで採用された女の子が、他の女の子たちから妬まれていじわるされたという話があったほどです。 怖いよー。女子はー。
で、あるとき、お店が突然閉店するということを聞かされました。 そのころ、代わりに思えるようなお店はフィービー以外には無かったので僕はかなりショックでした。 閉店理由なんてどうでもいいよ!と思いました。 「次に入るテナントさんも古着屋らしいですよ」と聞かされましたが、フィービーが無くなったあとなんて興味ねーよ、とほとんどふてくされていました。
それからしばらくし経ち、神戸へ出掛けることになりました。
そしてほんとに何も期待していなかったのですが、やはり気になって、行くことにしました、そのお店へ。
すると、見事に裏切られたのです。 いい意味で!
「スペイスモス」というそのお店には、フィービーとひけをとらぬ素敵な服が並んでました。
そしてそこには、少し緊張しつつも明るく話しかけてくださる妖精のような方がいました。
どこか神聖な香りさえ漂うそのお店は、もぎたての果物のように息を立ててました。
そのとき覚えてる唯一の会話
その妖精さんは僕に、「バンドとかやってるのですか?」とたずねてきたので、「やってないです」と答えると、「変態バンドとかやってそうですよね」と言ったのです。 初対面で変態呼ばわれ。。。 不思議な魅力のそのお店に夢中になりました。
それからというもの、バイトのお給料が出ると、毎月のようにスペイスモスに行くようになりました。 大阪にあれば毎日でも行きたい!と思ったこともありました。
いつ行っても真新しく、欲しいものばかりで、広いお店で思いのまま試着したり、お話しするのは
ものすごく楽しかったでのす。
とりわけ、音楽や文学に目覚めたきっかけになったのもスペイスモスでした。 僕はほとんど邦楽しか聴いて無かったのです。 英語もろくにわからんのに洋楽を聴くなんてことが理解できなかったのです。 文学にもまったくと言っていいほど無関心で、活字などめんどくさく嫌いでした。
それがあるとき、ふと本でも読んでみようかと言ったところ、一冊の本を薦められて、そこからズブズブと本の魅力にはまっていったのでした。 カート・コバーンなどと言われても、それだれ?って感じでした。 でも、妖精さんはいろいろと教えてくれたのです。 僕も自然と興味を持つようになり、自分なりにいろいろ探求し、中古CD屋や古本屋などを巡るようになったのです。
ここでも、バイトがしたいとお願いしました。すると、すぐにではなかったのですが、お店番を任される機会が訪れました。 そのころ僕は、将来古着屋をすると決めてたし、洋服屋の仕事も初めてだったので、デビューのときは大興奮したのを覚えてます。 とにかく必死でした。 大好きなお店で働けるのですから、すごく幸せでした。 お客さんにお礼をもらったときはポカポカと体温があがるほど感激でした!
それから3年ほど、月に数回お店に立っていました。 その間に、数多くの服に触れることができたし、ディスプレイの奥深さ、お客さんとのやりとりの楽しさ難しさなど、いろんなことを学ばせてもらいました。 それは他では決して味わえない貴重な経験でした。 様々な人たちとの出会いもあったし、本当にたくさんのパワーをいただきました。
スペイスモスは僕の人生を変えたであろう、大切な場所なのです。
おしゃれ童子もスペイスモスに負けないくらい、人にパワーを与えられるような場所にしたいです。
もし、神戸に行く機会があれば、ぜひ寄ってみてくださいspacemoth!
by obakeusagi75
| 2007-12-13 21:45
| おしゃれ童子それ以外